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辻秀信の時事コラム「辻の目」―冬の富士山の恐ろしさ―

2020/01/23(木) 社長ブログ日々のこと

昨年の秋、富士登山の様子をニコニコ動画で配信していた男性が、中継中に滑落して亡くなるという事故が起きた。

私はSBSの情報番組で静岡市山岳連盟の理事としてこの事故についてコメントを求められたので改めて動画を見直した。すると、分かってくることがいくつかあった。

 

まずは計画性の問題。最後の動画配信時は午後2時半だった。あの時点であの標高にいるということは、明るいうちには帰れないということになる。さらに山頂付近は滑りやすいのに、雪山登山の必需品アイゼンをつけていなかった。そして冬山用のピッケルではなく、普通のストック持っていた。冬の装備をしていないということだ。

 

この装備では、どんなに気を付けても間違いなくスリップする。挑戦の目的は、視聴者の数を上げたいということだったのだろうか。そうなるとより危険な状態の方が、より好まれるのかもしれない。危険な挑戦を視聴して面白がる奴もいるのだろう。

 

この事故を通して、ネット・SNSの世界は恐ろしいと痛感した。上手に使うと便利だが、間違って世界にのめり込んでしまうと、正しい判断ができなくなる。今、SNSと適切な距離感を保てない人が増えているのではないか。そういう意味で、社会に警鐘を鳴らす事故だったとも思う。

 

 

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