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世界のトップを目指す登山の世界

2024/11/21(木) 日々のこと社長ブログ

この夏、K2の未踏峰ルートチャレンジで、山岳界のレジェンド2人を失った。そのうちのひとり、登山家の平出さんは5年前、ネパールの空港でたまたま会って話した。NHKの撮影で来た、とのことだった。世界のトップ“すごい人”とネパールで話ができたこと、彼が私のことを覚えてくれていたことがうれしかったのを記憶している。

 

彼らが“世界のトップ”と言われる所以は、世界の名だたる未踏ルートを無酸素かつ少人数で登るからだ。山岳民族のシェルパやガイドは雇わない。私にはとてもとても真似できない。

 

K2は世界で2番目に高い山だ。エベレストより難しいことで知られている。断崖絶壁を登ることになる。報道によると約7000メートル地点で滑落した、とのこと。ヘリで2人の姿を見つけたそうだが、ヘリが絶壁に近づいて救助することは難しい。近づくと風圧で巻き込まれてしまうことも想像できる。かといって地上からも助けに行けない。やむをない“終了”だった。

 

山は、いつ何があってもおかしくない。

 

2010年11月、ネパールヒマラヤの未踏峰「ヤカワカン」の初登頂を思い出す。

5416メートルをベースキャンプにし、そこからクライマーズハイを体験した。ベースキャンプに入って4日間、何も喉を通らなくなった。当時、「これは何だろう」と思っていたが、あとから思えばあれこそがクライマーズハイというものだったのだろう。食事が喉を通らない。シェルパが作ってくれたスプーン1杯のおかゆだけ。お酒も喉を通らない。でも食べられないのに不思議と意識は低下しなかった。ただ山の上のことしか考えられなくなっていた。食べない状態のまま出発した。ふくらはぎはぱんぱんになり、外気は寒すぎて顔が痛かった。上まで登った4人でザイルつなぎ、ついに登頂した。11時間かかった。足元は万年雪で真っ白の世界。頂上に立った時に見た360度の景色は、今でも忘れられない。

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くだりは恐怖だった。へろへろになり、あろうことかヘッドライトの予備の電池忘れて真っ暗になってしまった。そして下からほかのシェルパが迎えに来てくれて、肩を借りた。助かった、と思った。こんなにも誰かの肩がありがたいと思ったことはなかった。下山後、食欲は見事に復活した。

 

世界トップレベルの山は、人を極限状態に追い込む。果敢に挑戦し続けた山岳界のレジェンドのお二人に、心から敬意と哀悼の意を捧げたい。

 

 

 

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