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この仕事をしてやりがいを感じることはたくさんあるが、そのうちの一つが昔の大工の仕事ぶりを確認できることだ。
リフォームのタイミングはいつ?とよく聞かれるが、だいたい30年が目安だろう。
30歳で家を建て、60歳で退職し、退職金でリフォームするというケースが多い。
30年前は今のような組み立てる工法ではなかったので、当時の大工個人の技術と知識と経験がかなり物を言う。
築30年でもまだまだいける家もあり、そういう家は例外なく敏腕大工が手がけた物件だ。この先40年、50年建ってもまだまだ使える家でいるだろう。
一方、築30年でボロボロになっている家もある。
私が実際にリフォームを手がけた例で、築30年の家の浴室水回りを剥がしたら、シロアリでぼろぼろになっていた。水が漏れていたのだ。
そして私が28年前に建てた我が家。リフォームで風呂場を解体したところ、一切水漏れはなく、全く腐っていなかった。きれいだった。この瞬間、28年前の自分に会えたようでうれしくなった。当時のていねいな仕事が、そのまま残っていて、誇らしく思えた。
建築の仕事の醍醐味は、長い年数を経てはじめて得られるものもある。これからも未来の自分が喜ぶような、ていねいな仕事を心がけていきたい。