施工のお話
男の子が憧れる大工さん!大工職人の豆知識②「墨壺」
男の子の憧れの職業、「大工さん」。最近は大工の担い手が少なくなり困っているそうです。昔ながらの大工の技術は、AIでは担えない職人技です。辻工務店の代表・辻は大工出身です。大工職人、家づくりの魅力を次世代に伝えるべく、大工の豆知識をお伝えします。
さてここで問題です。
大工職人の世界では、何ができると「一人前」と言われるようになるでしょうか。
①カンナ ②スミ ③ノミ
答えは・・・②「スミ」です。 スミ=墨。木材に墨付けができるようになると一人前です。 木材加工は今でこそ工場の機械にとって代わりましたが、 ほんの30年前までは、大工が墨壺を使って 墨付けしていました。 墨壺の使い方は、墨を含ませた糸を端に合わせて 引っ張ります。ピンと張った墨糸を摘まみ上げて 「くるくるくるくる〜ピシン!!」と弾き戻し、 材料に墨が叩きつけられるという要領です。 例えば、土台では墨で中心線を打って、 その線に沿って木材を切ります。 それゆえ正確さが求められるため、そう簡単には 墨付けはさせてもらえません。大工の登竜門であり、憧れの仕事なのです。 |
辻は22歳の時、親方から初めて墨付けの許可が出ました。
そして24歳の時、「一人前になったな」と兄弟子から墨壺を受け取りました。
それは欅でできていて、元々は明るい色だったのですが、たくさん使った証でいいアメ色になっています。鶴と亀の彫刻が施されたもので、今も大事にとっています(写真)。
大工の仕事はなんでもそうですが、墨付けもカラダで覚えました。
辻工務店のバイクガーレジ「T.T factory」は代表の辻が設計から施工まで手がけています。久しぶりの大工仕事です。一から道具を揃え直しましたが、体で覚えた感覚は、すぐに取り戻せました。
最後のネジを止めた時の「終わったー!」という達成感と喜び。
この瞬間は大工職人の醍醐味です。
ものづくりの仕事って、本当に楽しいです。